第1章 論文の書き方◆第24節 本文内容についての注意
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第24節 本文内容についての注意


  1. 表題に書いてあることと関係のうすい本文内容は、実務論文として、もっとも嫌われる。(△30)

  2. 反対に、諸君の中には、本文の書きはじめが表題と重複しないようにと心がけられる方がある。
    読者への親切のようで、親切にならない。
    つまり、読者には、表題を熟読せずに、すぐ、本文を読む人も多いからである。
    この点に注意されよ。(△10)

  3.  ところで、時々、諸君の書かれた論文で、内容が、そのとき出題されているテーマと、あまり、関係ないと思われるものに陥っておられることがある。
    これは、多くの場合、課題テーマについて考えておられるうちに、考えが昇華しすぎて、そうなられたのであるが、やはり、まずい。(△40)

  4. つぎに、本文の中に、部分的表題を設けるときは、その表し方の形式を、どのようにされてもよい。

  5. ただし、その作文として、統一した形式を採っていなければ、読者が混乱させられる。(△10)

  6. 本文のあとに付した図表は、すべて、本文中に、引照(identification)されていなければならない。(△5)

    (例) ……については、表5に示すとおり、……
    ……の人口は、5万人に過ぎないが(表2)、このなかには……
    ……である(図8)。

  7.  480字作文のなかや、付属文に、「どうしても、論文が、うまく書けない」といった泣きごとを書かれてはならない。(△40)

  8.  論文のなかに、著者が、これこれのキャリアまたは現状を持っているので、その経験的視点に立って述べるといった個人的ことわり書きを入れられてはならない。(△10)

  9.  論文のなかに、課題の意味が、もうひとつわからないから、これこれの立場で考えてみることにするといった、ことわり書きを入れられてはならない。
    すべて、わからないところは、相手に、よく、聞きただしてから行なうことが、観光産業マンの素養の1つである。(△10)

  10. 「前回の論文でも述べたが」、といった記述をされないこと。
    続きものとして、取扱っていない。(△10)

  11. 諸君は、卒業後も、この480字作文を職場に、私用に、さかんに用いたまえ。

  12. 「480字で書きます」と言われることもない。
    「480字になりました」という顔をしておられればよい。
    忙しい人の読みものとして、手頃な長さになっている。

  13. このとき、「ことわり書き」ぐらい、読者にとって、邪魔になるものはないから、わたくしは、いまのうちから、それを「いけない」と申し上げる。

第1章
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