林實先生は車の運転がお好きで、白のフォルクスワーゲン(ビートル)に乗られていました。
ホテル学校を卒業してからも私は、時々、お宅に伺い、ご指導をいただいておりました。それで、一度だけ、先生と一緒にタクシーに乗ったことがありました。その頃、先生は足の具合がよくなくて、杖を持って歩いていらっしゃいました。
で、タクシーに乗るとき、先に乗るように促され、私は奥の運転手の後ろの席に座りました。
「作法心得」では、奥の方が上席となっています。
ですが、先生は乗り降りのしやすい乗降ドアの側を選ばれたのだと思います。
先生は「作法を学ぶというのはよくないこともある。作法に外れたことが出来なくなる」とおっしゃったことがありました。
先生の広く深い知識と自由な考え方には、いつも驚かされていました。もっとたくさん教えていただいておけばよかったと思っています。
作法心得 第8章 4節 【型10】タクシー作法
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林先生曰く、作法委員長時代、『作法を教える者は人の視る目から始まる」と、即ちホスピタリーの質量は人の視る目の質量だと思いました。もっと人の視る目を養うことの大切さを感じます。先生はよく「一挙手一投足」とおっしゃっておられました。人の表情、口調ばかりか身体の動きからも読心されておられたのだと思いました。