明るい真顔

私が林實先生に初めてご注意をいただいたのは、「顔がこわい。いつもニコニコしていなさい」というものでした。
YMCAホテル学校に入ってすぐ長野県野辺山のYMCAの施設で1泊の新入生研修会が行われました。そこの野原に立っていたとき、林先生が笑みを浮かべながら近づいてこられて、そのようにご注意を頂きました。
林先生は背が高くて背筋がまっすぐに伸びて軍人のような雰囲気を持った方だったので、そのとき怖いと感じたのを覚えています。ですが、私は自分の顔がこわいという自覚がなく、なんのためにニコニコするのかもわかりませんでした。

学校が始まると林先生の授業は毎日ありました。他の先生は週に1~2度だったと思いますが、林先生は特別補講の形で毎朝、他の先生の授業が始まる前に1時間行われました。厳しいながらも広い知識にユーモアを交えたお話に接しているうちに私の顔は明るく変わっていったようです。
「暗い顔をしていると人生がそうなってしまうよ」と、授業の中でおっしゃったことがありました。

卒業してから知ったのですが、先生は「明るい真顔」という言葉を座右の銘として鏡を見て練習をしていたそうです。

その後、いつもニコニコしていることができるようになったと思っていたのですが、悲しく悩んでいる人の前で、私はニコニコしていて怒られたことがありました。明るい真顔だったらよかったと思っています。

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