林實先生とヨガの思い出

林先生のお宅にうかがって、向き合って座っていると、自分の心の奥まで見通
されるような思いがしたものです。
林先生は直感力というか、カンの鋭い方でした。
「大事なことは自分で決めるんだ」といいながらも、決めることのできない私
たちに、進むべき道を、親身になって考えてくださいました。
悟りを開いた人が、迷える衆生を指導してくださっているという印象がありま
した。

以前私が書いた文章が見つかりました。林先生のお宅に伺ったときの林先生の
お話の雰囲気がよみがえるようですので、公開します。

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林實先生とヨガの思い出

林先生はホテル学校の授業の中で、ヨガのことを話されたことがあります。
チャクラについてだったと思います。
「ヨガというものはたいしたものなんだよ。ヨガの本を読め」そのときはそれ
で終わりました。
そして、私が卒業してから先生のお宅にうかがい、ヨガをやってみたいと申し
上げましたら、ヨガについてのお話をして下さいました。そのときのメモをも
とに、先生のお話を再現してみようと思います。記憶違いや思い出せないとこ
ろがありますが、ご容赦願います。

「ヨガか、あれに凝るなよな」とおっしゃって奥の方から2冊の本を持ってこ
られました。ゴーシュ先生の「インドヨガ経典」とヨガナンダ師の「自叙伝」
です。
「インドヨガ経典」の序文に、林先生のお名前が出ているのを嬉しそうにお見
せになりました。
「前からヨガを習いにインドに行きたいと思っていたら、向こうから先生が来
たよ。道場をつくるときに手伝ったんだ。それでそこに名前が出ている」
そして、ヨガナンダ師の本を紹介されて、
「わしは、ヨガナンダを尊敬しているんだ」
それから、次のように話されました。
「ヨガを始める前に、道場のことについて申し上げておこう。
場所は新宿御苑、にぎやかな所にある。
ゴーシュ先生は聖(ひじり)である。何があってもケロッとして生きている。
道場に行くと毎日練習するようにいわれる。きついことだ。それに付き合うと
他の事ができないな。そのため毎日やれない。3日に一ぺんでも効果がある。
ヨガには戒律がある。禁酒。酒はきらう。タバコはよし。ヨガの前日は酒を飲
まないこと。女については何もいわないんだ。上級になると肉食を禁止する。
最終的には菜食主義だ。しかし、よほど見込みのある人にでないと、それは
いわない。鶏肉と魚はよく食う。牛は神様だからダメ。ブタは好まない。
精神的な戒律は良いものである。
嘘を言うな。心に思っても言わないこと。人をあざむかないということは、
ヨガをやるのに大切なこと。
挨拶は、正座して合掌。ヒンズーの神を拝む。
挨拶を自分から先に丁寧にすること。
道場では、身体に悪いところが有ってヨガをやっている人が多い。
道場の悪いところや考え方の違いを見てもがっかりするな。
他の道場に行くと破門を食う。操を立てるんだ。
服装は、道場の行き帰りは自由。練習のときはパンツ1枚。本当は素っ裸が
いいな。女はバレー着など。隣で練習していても見るな。ウキウキするからな。
遅刻には厳しい。15分ぐらい前に着くこと。
数字を正確に言うこと。1万円以下とか、2、3日などの言い方をする。
Time, Place を正確に言う。正確に言えないときは、Almost という。
持って行くものは、1.湯上げタオル 2.パンツ1枚 3. 汗拭き用タオル
4. 先生の作ってくれたノート」

それから林先生は、ヨガと宗教のことなど多岐にわたる興味深いお話をされました。インドにはインドの神様、日本には日本の神様があります。
林先生は、それらすべての宗教のもとは一つであると考え、そのもとになる広い意味での神様を信じておられる方です。次のお話の中にもそのお考えがうかがわれます。それでは概要をお伝えします。

「ヨガは、インド・ゲルマーネンのものといわれている。
わしは、ミュー帝国かアトランティス大陸の時代のものと思う。林説だな。
太平洋には、ミュー帝国があった。その考え方が一番素直な形で残っているのが日本である。神道の考え方にある。
ミュー帝国では、女のみこがいる。楽天的で原罪思想がない。皆、神の子と考える。占いをする。米、魚、野菜をよく食べる。語形はテニヲハが付く。
語順はきびしくない。音楽を好む。酒を飲んで踊りをおどる。航海は遠くまでする。千里眼などが発達していて予知ができる。階級がある。長男が跡を継ぐとは限らない。財産はあった。原始共産制である。寿命は長く300年から500年普通生きた。多くの人が肉体ごと昇天した。5000年ほど前まで、そうであった。生死をあまり考えない。掟(おきて)は、兄妹が一緒にならないなど。
バラモンの教えにもそのようなものがある。ヨガもその時代の修行法である。
YOGA が変化して英語の YORK になった。YORK は、2頭の牛をつなぐ頸木
(くびき)のことで結び、つなぎという意味、YOGA は、肉体と精神のつなぎをつけるという意味である。
釈迦は南方族で日本人に近い。日本人に近い言葉で説法していた。
仏陀とはブラーマンの教えを悟った人という意味。
大日如来、釈迦牟尼仏、阿弥陀仏など結局は太陽にもどる。ブラーマンの教えも同じである。
仏教はインドで盛んになったが、一切平等と言いすぎたので、武力で押しやられた。カーストがあるので平等を言いすぎると社会秩序が保てない。そして仏教が堕落したので、またバラモンに戻った。バラモンは仏教を発生させた悪い点を改めて今日に至る。
ヒンズーはバラモン教そのものである。
Hindu が Hindia そして India となった。
マルコ・ポーロの地図には Hindia となっている。バスコ・ダ・ガマでは、Indiaである。ヒンズーとマホメットとは相容れない。ヒンズー教は日本の神道に似ている。もとが同じだからである。
日本仏教は神道に近い仏教である。
ヒンズー教徒は、外国に行くと、その国の寺院でそこの最高の霊を拝む。
キリストを拝んだり、仏像を拝む。もとは皆同じだというんだ。大人だね。
ヒンズーの根には大調和の心がある。
ヨガで歴史を学ぶのもおもしろいな。
ババジ Babaji は神人である。3000年前、金星から来た。ヒマラヤ山の地下に居るといわれる。3000年生きているが肉体は18才である。居ながらにして世界の事がわかっている。妻は無い。ババジは男性である。他の天体の神々と話ができる。
何才にでも化けられる。何人種にでもなれる。地球の危機に現れる。
見えざる手で危機を回避する。ヒンズー教ではババジを認めていない。
ヨガナンダはベナレスの貴族の家に生まれた。アメリカに渡り、習ったことのない英語を話した。瞑想を中心にした。
ヨガナンダの弟のゴーシュがヨガを整理して体操のようにした。
ヨガでは、正直、感謝、奉仕を教える。悪いやつは殺してもいいんだ。宿命論であるが、努力でそれは変わる。行動の戒律として、ヨガを毎日やること。
凝ると、一日8時間やる人もいる。ある人にとってはそれが必要らしい。
1分でもよいから毎日行った方がよい。毎日やれ。
ヨガには4つの段階がある。下の方から、ハタヨガ、呼吸ヨガ、瞑想ヨガ、最高のヨガ。ハタとは肉体のこと。最高のヨガを行う場合でも、ハタヨガを少しやるんだ。ヨガが日本に入って来たとき、禅宗ではハタヨガを切り捨ててしまった。
それだとアンバランスになるのでよくない。しかし禅宗の坊さんは労働をよくする。それがハタヨガの代わりになっているな。一番下のハタヨガをしっかりやること。進歩を急がないこと。あせると進歩が止まる。毎日やって成果を期待しない。
わしは、ヨガの練習をするときに今日は何日目とノートにつければ励みになるんじゃないですかと言ったんだ。ゴーシュ先生は、今までに何回やったと考えるとそれが業(ごう)、カルマになるというんだ。そういうことを考えないんだな。
やったことがないと思って好きなときにやる。いろいろな不思議な現象が現れるが、にせの現象もある。結果を一切無視して練習すること。続けることが大事」

このように、林先生は教えて下さいました。

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