第2章 集団作法◆第11節 回覧作法
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第11節 回覧作法

【型1】回覧順
【型2】非発言者からの回覧
【型3】解説文書の紛失
【型4】聴く義務感
【型5】演技者への反応の仕方
【型6】誰かやれへの反応


【型1】回覧順
  1. ヨコ列を、前からうしろに、第1列、第2列……と呼べるとき、回覧物は、すべて、シート・マスター*から回わされる。

    シート・マスター以外の人が、発言者から回覧物を受け取った場合は、注意を払い、発言者に気づかいながら、シート・マスターに送られよ。また、持って行かれよ。
    シート・マスターから次の順序で、回覧物を送られよ。
    図:回覧順1

    本来、教養のある講演者ならば、だまっていても、回覧物を、シート・マスターに渡すことを心得ている。
    ところが、日本人、または、日本に来ている外人は、知らないか、あるいは、くずれている。

    そこで、図の、または、に渡してしまう場合がある。
    で、いま、かりに、に渡されたものとしよう。
    これを、が、シート・マスターのところへ、持って行くと、講演者に失礼となる。
    そこで、は、しばらく、ちゅうちょせよ。

    で、まず、渡された回覧物を、自分だけ見てしまえ。
    それによって、講演者に対する、礼となる。

    それからは、その回覧物を、シート・マスターのところへ、静かに持って行け。

    また、もし、講演者がに、手渡した場合、も、しばらく、回覧物を見て、しかるのち、教室のうしろを回って、その回覧物を、シート・マスターに、渡しに行け。

    シート・マスターから、ふたたび、のところに回覧物が、回わってくるであろう。
    そのとき、は、さっさと次の人に、回覧物を手渡せばよい。

  2. 回覧物1件を、各自手もとに置く時間を、30秒限度とされよ。

  3. 1名の手もとに、2件以上の回覧物を、溜めて置かれるな。

  4. 集団が、コの字型にならぶとき、回覧は、左側グループを済ませてから、中側グループ、ついで、右側グループと、グループ単位に、すすめられよ。
    図:回覧順2
【型2】非発言者からの回覧

発言者から出るものでない全員への回覧文書をまわすにあたっては、発言者のもとに、了解を得にゆかれよ。

【型3】解説文書の紛失

いま、物品と、その解説リーフレットを回覧していったものとする。
回覧を終わったとき、物品は、講演者の手元に戻ったが、そのリーフレットだけが誰かの手元に残ってしまったものとする。
これは、集団としての恥である。
しかし、別に、盗もうと思わなくとも、こういう過失は生じやすい。
「しまった。自分の手もとにあった」と気付いた方は、いちはやく、届けられよ。

【型4】聴く義務感
  1. こちらが立集団で、説明を聴いていることがある。
    そのとき、説明者をそっぽにして、あちらこちらを、写真に撮ったり、そっと抜け出して、用便に行ったり、そばで、物品を売つているので、それを購入したりするのは、日本人ばかり、と言われている。こういったことをされないように。

  2. また、説明を聴くとき、1名、2名、集団から離れ、超然とした形でいるのも、現代日本人にある、1つのクセとして、嫌われる。こういったことも、されないように。

  3. 説明を聴くとき、自分に興味がないテーマでも、つまらなそうな顔をされるな。

  4. 説明を聴くとき、ヒソヒソばなしをされるな。

  5. たとえば、観光ガイドの説明に対しても、客としての作法がある。
【型5】 演技者への反応の仕方
  1. 講師が、聴衆に対し、講義内容について、何らかの反応を求める手段として、講師が、「みなさん、おわかりになられましたでしようか」と質問されたものとする。

  2. このとき、聴衆として、「Yes」 or 「No」の意思を、はっきり、講師に示されよ。
    聴衆の反応が、あいまいであると、講師として、たいへん、講義を続けにくい。
    まして、外来講師では、なおさらである。

    1. 「Yes」の意思表示
      まず、心の中で、思いきり「Yes,Yes」と思い込まれよ。
      無言の言葉は、心を通して、目、そして、身体に、にじみ出るものである。
      つぎに、心だけでは、ものたりないと感じたとする。そのときは、相手の目を、じっと見つめ、かつ、穏やかな微笑をもって、はえ際顔面* を45度傾けて、うなずかれよ。
      このとき、反応者が「女性」である場合、まつげをまばたかれてもよい。
      「Yes」の反応としても、わかりやすい。
      ただし、色気を強調していると感違いされる懸念があるので、この「まばたき」は、2回までとし、かつ、ウインクとならないように。
      また、男性は、これを、されないように。

    2. 「No」の意思表示
      図:視線の位置 まず、心の中で、思いきり「No,No」と思い込まれよ。a. と同様の理由から。
      つぎに、それだけでは自分の心を伝えにくいと感じたとき、こん度は、相手から目をそらし、自分のオヘソから、床に対して並行に引いた直線で、80cm 内外のあたりの点を見つめられよ。
      「わかからなくて……」という風にして。

    3. 「聴いていませんでした」のとき
      これは、聴衆として、劣悪である。
      で、そのときは、講師の目を、じっと見つめ「まことに……」という風にして、あとは、b. と同様の態度をとられよ。
      くれぐれも、「あんたの授業、聴いてなかったよ」という素振りを、見せられるな。
【型6】誰かやれへの反応

現代日本人には、「誰か、やれ」といわれたとき、馬鹿になって出てゆく者が少ない。
 (1) いのちにかかわる。
 (2) 出しゃばって、嫌われる。
 (3) しくじったら、恥ずかしい。
以上のうち、(1) でないと判断するかぎり、無心に、出てゆかれよ。


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