第14節 段などの昇降
【型1】登壇
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b の場合……壇の前で両足をそろえる。
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- 壇の前10cmまで近づく。
G……客席側の足(客足)
W……壁側の足 (壁足)
- 壇の上に、壁側の足のつまさきからのせる。
そのかかとは、深くとも、壇のフチに一致させるまでとする。
- 身体の形……垂直。首はこころ持ち、下を向いてよい。
- 足の形……壇にたいして垂直。
- 目の位置……水平自身長
*
の2倍
……壇の上に片足をのせる直前には、足元を見てよい。
総論44節「用語の約束」を開きます。
- 手の形……手になにも持っていないとき、軟式手横下
*。
手に資料など持っているとき、その物品に応じて、もっとも、自然な形をとられよ。
第5章10節【型7】を開きます。
【型2】降壇
- 壇のふちまであゆみより、立ちどまる
(つまさきづけ型)……足元に目を移してよい。
- 壁側の足を床に垂直に降ろす。
- 降りられるとき、胸が垂直であられるように。
このとき、頭のみは、下を向いてよい。
【型3】壇をあとずさりして降りる
- あとずさりして、壇に近づく……顔は正面を向いたまま。
足元に視線を移してもよい……姿勢を崩されるな
- 壇のふちで立ちどまる。
足元に視線を移してもよい……姿勢を崩されるな。
- 客席側の足を床に垂直に降ろす……つまさきから。
- 壁側の足を後方に引く。
【型4】段が2〜3段あるとき
- いま、壇の上に立とうとするとき、段が複数であったものとする。
このとき、壇における最終歩を壁足とされよ。
- また、壇から降りるとき、第1歩を壁足とされよ。
- ただし、女性の場合、壁足から上り、そのまま、次の段に進むのでなく、もう一方の足をそろえ、さらに、また、壁足から、つぎの段を昇るという方法をとってもよい。
【通解】
- 階段の昇降の練習には、頭板を用いられるとよい。
【型5】階段の昇り方
- 姿勢を崩されないこと……前かがみにならない。
……欧米人のマネをして肱を張られるな。
- 顔は下に向けられるな……視線は、水平線より、すこし上。
- 足音をたてられないように。
- 1段のスピート……男女とも1/2秒。
- 足の位置……段からあまりかかとをだされぬよう。
【説明】
足の位置について、はっきりと、意識されよ。
とくに女子の場合、高いヒールなど、安定の悪い靴を着用されるとき、かかとの一部を空中に浮かしていたのでは、ちょっとした重心の移行で、バランスを失いやすいし、また、とっさの動きに対して、不安定である。
で、この足の位置というのは、危険防止ということ。
【型6】階段の降り方
- 一般人としても、ホテルマンとしても、手すりのない側を降りられよ。
- 姿勢をくずされるな。
- 顔を下に向けられるな……視線は、水平線より、すこし下。
- 足音を立てられないように。
- からだの上下波動 (Swing) をなくされよ。
- 1段のスピード1/3秒。(ただし、39才まで)。女子はすべて1/2秒。
【型7】階段昇降後の2歩
階段を昇り切ってからの2歩と、降りきってからの2歩を美しくされよ。
- 普通のスピードで昇降するとき。
- 昇降後の1歩は、床をしっかりと踏まれよ。
このとき、床の端にかかとがつくようにする。
- 2歩目は、上体を揺らさないように注意し、足をまっすぐに伸ばす。
- 少々速いスピードで昇降するとき、急いで階段を昇降するとき、1.とほとんど同じ方法で行なう。
ただし、1歩目は 1.よりも強めに床を踏まれよ。
【型8】階段の途中でのぶつかり回避
- こちらに向かって、やってくる人を 「対向者」、こちらのうしろから、来る人を 「後続者」 と呼んでみる。
- 対向者の来ないときでも、こちらは、階段の右半分を使用しようと意識されよ。
ただし とくに、「ここでは、左側通行」 と掲示されている階段の左半分を使用しようと意識されよ。
- ホテルマンは、自分のホテルの階段で、客の昇降のあるとき、前記のほかに、手すりのある側を、客用に提供し、自分は、手すりのない側を用いようと努められよ。
もし、左右両側に手すりがあるときは、自分として、まん中を昇降すればよい。
- 対向者とぶつかりそうなとき、こちらから見て、右側によけられよ。
ただし、左側通行を指定している階段では、左側によけられよ。
- 対向者にぶつからないため、一時停止するとすれば、車の坂道での場合と同じに考えて下りの者が、先に一時停止すべきであろう。
すなわち、昇るエネルギーより、下るエネルギーの方が強いからである。
- このとき、昇る者も、一時停止を忘れてはならない。
- 一時停止するときも、後続者の追突を避けるため、対向者のこちらから見て、右側に避けようとされよ。
ただし、左側通行を規定している階段では、左側に。
- できるだけ、相手に胸を向けて、避けられよ。
- 相手が立ちどまり、避けてくれたとき、会釈を忘れられるな。
- 対向者たちが、階段の巾いっぱいに広がって来るとき、こちらは、その力に屈服し、階段の右すみを用いられよ。
左側通行掲示の階段では、左側すみに。
- 自分が、群集の一員であり、その群集が階段巾いっぱいに昇降しているとき、自分は、ともかくも、階段巾の右半分の中にいようと心掛けられよ。
左側通行階段では、左半分の中にいようと、心掛けられよ。
【型9】男子が先に昇る
男女で階段を昇るとき、必ず、男子が先に昇られよ。
このため、階段昇口の 3m 手前から、男子は、速足、女子は遅足となられよ。
【説明】
- 欧米の過敏なセックス意識から来ている作法である。
- そこで、女子が、15才以下であるならば、男子が女子を保護する意味で、女子を先としたほうがよい。
- ただし、大人の女子が、階段をあとから昇るという習慣を見ていて、オシャマな女の子は、階段の下で、男子に、「どうぞ、お先に」 とやるかも知れない。
そういうときは、男子が先に昇られよ。
【型10】前後距離
- 階段昇降のとき、異性と前後して進む場合、相手との斜面距離を、約 3m、あけようと努められよ。
- はじめに、くっついてしまっているときは、後の者が、あいだを、調整して行かれよ。
しかし、それを、立ちどまることなく、行われよ。
【型11】階段での上位者への先導・随伴
- 階段での昇降には、上位者が、真中を昇降できるように考えること。
- この上位者を先導申しあげるときは、上位者の右前を進むこと。
- また、この上位者に随伴するときは、上位者の左後ろか真うしろを進むこと。
- 前1にかかわらず、上位者が、手すりにつかまろうとされるときは、応用動作とすること。
- 観光産業マンは、つとめて、手すり側を避けて昇降している習慣をつけられよ。
【型12】30cm のものをまたぐとき
- 高さ 30cm の柵などをまたぐとき、柵と横対し、「ゴム段とび」 を丁寧に行なったような形でされよ。男女ともである。
- 前に足を蹴上げては、行われるな。
【型13】巾30cm のものをまたぐとき
男女とも、横またぎとされよ。
【型14】トレーを片手に持って、またぐ
高さ 30cm あるいは巾 30cm のものをまたぐとき、ともに横またぎとされよ。
第1章 立居振舞