第19節 動機論か結果論か
- 「わたくしは、いつも、自分のことより、人々のことを考えています。そこで、スマイルといった表面上のことに気を配るのは、相手と自分を卑しめるものと思います」
動機論的にのみ作法を追求すると、こういうことにもなる。
- 「わたくしは、相手を火の中から救おうと思ったので、相手を突き飛ばしたのです。で、相手は助かりました」
これは、立派な作法である。動機も、結果もよいから。
- 「わたくしは、相手を火の中から、救おうと思ったので、相手を突き飛ばしたところ、相手が、窓から落ちて、死んでしまいました」
これは、作法として半分アウト。動磯がよく、結果が悪い。
- 「わたくしは、相手を焼き殺してやろうと思ったので、相手を火の中に、突き飛ばしました。ところが、相手は、火の向こうまで飛んでしまい、かえって、助かりました」
これは、作法としてアウト。動機が悪く、結果のみよい。
- 「わたくしは、相手を焼き殺してやろうと思ったので、相手を火の中に、突き飛ばしました。うまく、相手は、死にました」
これは、動磯も結果も悪く、作法でない。
- 人は、まごころを込めて行なっても、人々に、迷惑をかけることがある。
このとき、迷惑をかけることまで考えない、まごころは、子供のまごころである。
迷惑を考えるまごころは、大人のまごころ。