第7章 飲食・喫煙 ◆第41節 食事のお礼
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第41節 食事のお礼


【型1】個人・私宅でごちそうになったときのお礼のいい方
  1. あなたが、Aさんという人物の私宅で、ごちそうになられたものとする。食事が済んだとき、「ごちそうになりました」と挨拶されず、無言で、丁寧に、頭を下げられるのがよい。
  2. Aさん宅を辞去するとき、はじめて、「ごちそうになりまして」と挨拶されるのである。
【説明】

これは、洋の東西を問わず、食事を1つの宗教行事と見る伝統から来ている。そこで、食事が済んだとき、一同の神への感謝を、はっきりさせるため、あえて、Aさんへの挨拶 を避け、辞去するとき、はじめて、Aさんへのお礼を申すということになる。

【型2】レストランでごちそうになったときの謝辞の述べ方

レストランで、あなたが、Aさんにごちそうになられたものとする。
食卓を立つとき、あなたは、「ごちそうになりまして」などと申されず、無言で頭を下げたのち、立ち上がられるのがよい。

【説明】

理由は、Aさん私宅で行なうときの考え方と同じである。

【型3】レストランで相手の支払を見て見ぬ振りをせよ

レストランで、あなたが、Aさんに、ごちそうになられたとき、オン・テーブルでのAさんの支払いを、あなたが見ておられても、知らん顔をしてあげるのがよい。Aさんに、お礼 を申されるのは、レストランのそとに出て、できれば、レストラン従業員から見えなくなってからである。

【説明】
  1. Aさんとしては、請求書を眺めている表情を、あなたに見られたくないし、チップを、どの程度に支払ったかも見られたくない。
  2. お礼を申すのが、レストラン従業員に見えなくなってからというのは、伝統的な欧米作法であるが、そのわけが、もうひとつ、よく、わからない。強いて考えれば、レストラン・サービスが、その客の一団の見えなくなるまでをユニットにしている以上、それが済むまでは、客同士、挨拶し合わないのが、レストランに対し、また、客の中のホスト(Aさん)に対する礼であると見るわけであろう。
  3. レストラン従業員の前で、車に乗るような場合、そこで、Aさんと別れるのであれば、別れの挨拶のみを行なうこととなる。
  4. レストラン従業員の前で、車に、Aさんと同乗して去るのであれば、車が走り出してから、Aさんに「ごちそうになりまして」と申されることとなる。
【型4】レストランでごちそうになったときキャッシャーの前を素通りせよ

レストランで、あなたが、Aさんに、ごちそうになり、Aさんとともに、テーブルを立ち、キャッシャーのところで、Aさんが支払うものとする。このとき、あなたは、Aさんを残して、サラサラと外に出てしまい、外で、Aさんを待ち、Aさんが出て来たとき、挨拶せ ず、Aさんとともに歩き出し、レストラン従業員から見えないところに行ったとき、はじめて、Aさんに、「ごちそうになりまして」と挨拶されるのが作法である。

【型5】帰宅後のお礼の言い方
  1. 親しい相手であろうと、相手から食事を供されて帰宅したときは、相手が、まだ、起きている時間であると思えば、電話をかけて、礼を言われよ。
  2. 相手に、電話がないか、夜、遅いかするときは、帰宅してから、12時間以内に、礼状のはがきか手紙かを発信されよ。
  3. 反対の立場で、相手から、そうされたときは、「おかまいもできなかったのに、わざわざご丁寧に。また、お越しいただけると光栄」と口頭で述べるか、返信するかされ よ。
  4. 相手から、自分ひとりでなく、何人かグループで招待を受け、食事をしたものとする。この場合、代表して、ひとりが礼状を書くというのは適当でない、1人ひとりが、自分自身のものを書くべきである。

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