第31節 デザート・コース
【参考】アン卜ルメとデセール
- entremet アントルメは、「仲介者」ということ。料理の世界では、はじめの肉料理とあとの肉料理のあいだに置く「菓子」を指している。
entremet は、強いて、英語にすれば、mediator となるが、料理の世界では、entremet というフランス語のままで、通っている。
- dessert デセールは、「追加」ということ。料理の世界では、肉料理までが済んだあとに食べる追加的な部分。「菓子、フルーツ、チーズ、コーヒー」といった部分を指す。
- ところで、このアントルメということばには、デセールを兼ねて指す意味があるのでないかという質問が多い。
これについて、そうでないということを、ここに、はっきりさせたい。
- アントルメが、肉料理と蒸焼肉の中間にあることは、1700年ごろから、こん日まで、かわっていない。
- また、蒸焼肉のあとに、デセールがあって、そのあとに、食後酒のあることも、1700年ごろから、こん日まで、かわっていない。
- また、デセールの中で、フルーツ〜チーズ〜コーヒーと進むことも、1700年以来、こん日まで、かわっていない。
- が、かわったところがある。
まず、1700年ごろまでは、アントルメに、「プディング、パイ菓子」といったものを、かなり多く食べて、そのあと、さらっとした蒸焼肉で仕上げ、あとは、デセールをフルーツ、コーヒーで終わっていた。が、1770年代に、シャーベット、アイスクリームを年間通して、作れるようになると、アントルメにシャーベットを置くことを定形化し、蒸焼肉のあとに、いままで、アントルメであった、プディング、パイ菓子といったものを、デセールの筆頭に置いて、この食事の最大の花とするようになった。
- さらに、このとき、夏は、このデセールの花となったプディング、パイ菓子などのかわりに、アイスクリームを置くようになった。
- なんと、このあと、フランス東部を経過し、第1次世界大戦まで、150年間を同型で来た。で、ここで、蒸焼肉を、省略したときは、シャーベットをデセールでのアイスクリームの代用品としても用い始めた。
- 事実の動きとしては、これで、全部である。
- アントルメは、2つの肉料理のあいだにあってこそ、アントルメである。それが、デセールのほうに引っ越したとき、もはや、アントルメでなく、デセールになっている。
- が、アントルメを、プディング、パイ菓子、シャーベットのことであると思っている人……そう思っている人は、フランス人コックの中にも、けっこう、多いらしい……にとっては、デセールとアントルメの区別が、つかなくなる。
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