第30節 ソース
【参考】ソース
- 日本では、ソースというと、すぐ、とんかつソースや、ウースター・ソースを連想する。とんかつソースには、もとよりのこと、ウースター・ソースにも、醤油が入っている。
ウースター・ソースは、イギリスのウースターシャー市で、東洋から醤油を輸入して、新しくつくり出したソースである。で、日本人の口に合うわけである。
- さて、Sauce(英、仏同形)ソースは、西洋料理で、はなはだ大切なものであり、その種類も、数え方によっては、1,000種類もある。
- マヨネーズ・ソースや、ケチャップ・ソースのように、市販されているソースもあるが、だいたい、ソースは、その料理の料理人が、作るものである。
- そこで、客としては、ソースを、はなはだ、大切そうに扱うことが、1つの作法となっている。
【型1】ソースの取り方
- ソースは、マヨネーズ・ソースのように、ねばりの強いもののとき、ソース入れから、ただ、すくえばよい。
- ところが、gravy とか、サラドのドレッシング・ソースとかは、上下に分離しているのが、普通である。そこで、そういったソースを、上品に、うわずみだけ、すくうと、せっかくのソースの味が、こわれてしまう。で、少し、かきまわすか、少なくとも、レードル
を、底のほうまで、突っ込んで、すくい上げるのがよい。
【型2】熱いソースのみ、直接、肉に
- ソースを皿に取るとき、「熱いソース」は、魚、肉に、左から右に、かけられよ。
- ぬるいか、冷たいかのソースは、魚、肉のない手前の部分に取って、魚、肉を、つけては、食べられよ。
- 通常、ぬるいか、冷たいソースは、練りの固いマヨネーズ風のものとなり、熱いソースは、水っぽいソースとなるので、「やわらかいソースのみ肉の上に」という説明もある。
- しかし、この取る位置の区別は、ソースの熱いか、そうでないかから来ている。
- 「熱いソース」を肉にかけるとき、どっぷりと、肉の真ん中にかけられよ。
- 肉にかけたソースは、ナイフで広げられるな。
切った肉をソースに持って行かれよ(ただし、バタは別である。)
【型3】ソースは、充分に
上品なつもりで、ソースを、少量取ると、料理がまずい。もとより、嫌いなソースを、お義理に取るときは別であるが、そうでないとき、どっぶり、3杯ぐらい取っても、みんなにいきわたるように準備されているものである。
【型4】ソースを取ったあとのレードルの処理
ソースを取ったあと、レードルは、必ず、ソース入れの受け口のほうに、たおして置くこと。
【参考】マヨネーズ・ソースの発祥
マヨネーズは、1756年、スペイン領マジョルカ諸島の中のミノルカ島で、魚、エビなどを食べるための1つのソースとしてつくられた。卵黄とオリーブ油と酢である。あとから、サラドにも使うようになった。
ミノルカ島の東側の港を、マオン Mahon という。で、このソースは、「マオン風ソース」と呼ばれた。mahonnais もこれが、どこかで、mayonnaise となまった。フランス語で、mayonnaise をマジョネーズと読むから、マジョルカとからめたのであろうという説明もあるが、わからない。