第14節 会話
【型1】食事中会話
- 洋食の席では、着席してから、退席するまで、会話を続けているのが、作法。
- しかし、けっして会話を独占されるな。
- 会話では、姿勢が、もっとも、大切。
上体から、相手に向けられよ。
- 洋食での会話には、つぎの3期の区別がある。
- 第1期
- 着席から、スープ皿が、引かれるまで、両隣と、平均に会話する。口数少なく、小声で。先隣の人と話をすると、隣の人を無視したかたちになる。
- 第2期
- スープ皿が引かれてから、コーヒーが注がれるまで、両隣、また、先隣まで会話する。しかし、隣人のうしろごしに、話をしてはいけない。小声気味に。
また、自分の前の、花ごしに、向こう側の客と、話をすることは、机の巾が、狭くとも、控えられよ。しかし、目で挨拶をすることは、良い。
これは、円卓の場合でも言える。
- 第3期
- コーヒーが注がれてから、席を立つまで、ふつうの声量で良い。
座談会に、出席しているつもりで、みんなに、合わせるような話で、歓談されよ。
- 所詮、洋食は、会話をし、食べ物を食べている。そういう「儀式」である。
- 第1期から第3期までを通じ、早口で話されるな。
- 口にものを入れているとき、話されるな。
- 笑い声を、品よくされよ。
- 政治・宗教・人のうわさを話してよいが、そのときは、するどく、注意を払いつつ、申されよ。
- 政治・宗教・人のうわさの話に、あいづちを打つときもするどく、注意を払ってされよ。
- 第1期、第2期のときも、もし両隣以外から、声をかけられたならば、それは、声をかけた人物が不作法なのであるから、これは、ニッコリと会釈を返しても、けっして、声での返事をされるな。
- その場にふさわしくない話が出たとき、これを、そらそうとして、こちらがとぼけた発言をしたりすることは、あってよいが、「黙ってしまう」ということが、さらによい。そこで、座が白けようが、気にすることはない。
- さて、日本人は、洋食のとき、慎みすぎたり、固くなったりして、ほとんど、ものを言わず、言っても、イエスとかノーとか言わない傾向がある。いつも、なにか、言おうと、努力しておられよ。
- もうひとつ。日本人は、話すとなると、こんどは、人々を、吹き出させる話や動作をしてしまう。
- 第1期の会話を、やってみられよ。
- 品のよい、しかし、心から、楽しそうな笑い声を出して見られよ。
- やってならぬこと。
- 指さし
- よこ目
- 上目づかい
- 大声
- 大笑い
- くしゃみ
- あくび
- ゲップ
で、やってしまったとき、「失礼いたしました」という素振りをされよ。
- 宴会であるとき、これらを、確実に行なわなければならない。
- が、レストランであるとき、自分のテーブルの者とは、それぞれと話してよい。
(ただし、この場合も、あまりにも大きなテーブルであるならば、考えられよ)
【参考】
昔は、ホステスが、右隣の人と話をしていたならば、右隣、ホステスが左隣と話していたならば、客も、左隣と話すといったことをしていた。(エミリー夫人)
または、皿が変わるたびに、左、右、と必ず、かわるがわる話をするのがエチケットとされてもいた。