第5章 立居振舞 ◆第14節 段などの昇降
前節 次節

第14節 段などの昇降


【型1】登壇

図:54b
の場合……壇の前で両足をそろえる。
  1. 壇の前10cmまで近づく。
    ……客席側の足(客足)
    ……壁側の足 (壁足)
  2. 壇の上に、壁側の足のつまさきからのせる。
    そのかかとは、深くとも、壇のフチに一致させるまでとする。
    1. 身体の形……垂直。首はこころ持ち、下を向いてよい。
    2. 足の形……壇にたいして垂直。
    3. 目の位置……水平自身長の2倍
          ……壇の上に片足をのせる直前には、足元を見てよい。
      図:55a
    4. 手の形……手になにも持っていないとき、軟式手横下。
      手に資料など持っているとき、その物品に応じて、もっとも、自然な形をとられよ。
【型2】降壇
  1. 壇のふちまであゆみより、立ちどまる
    (つまさきづけ型)……足元に目を移してよい。
    図:55b
  2. 壁側の足を床に垂直に降ろす。
  3. 降りられるとき、胸が垂直であられるように。
    このとき、頭のみは、下を向いてよい。
図:56a
【型3】壇をあとずさりして降りる
  1. あとずさりして、壇に近づく……顔は正面を向いたまま。
    足元に視線を移してもよい……姿勢を崩されるな
  2. 壇のふちで立ちどまる。
    足元に視線を移してもよい……姿勢を崩されるな。
    図:56b
  3. 客席側の足を床に垂直に降ろす……つまさきから。
    図:56c
  4. 壁側の足を後方に引く。
図:56d
図:57
【型4】段が2〜3段あるとき
  1. いま、壇の上に立とうとするとき、段が複数であったものとする。
    このとき、壇における最終歩を壁足とされよ。
  2. また、壇から降りるとき、第歩を壁足とされよ。
  3. ただし、女性の場合、壁足から上り、そのまま、次の段に進むのでなく、もう一方の足をそろえ、さらに、また、壁足から、つぎの段を昇るという方法をとってもよい。
【通解】
階段の昇降の練習には、頭板を用いられるとよい。
【型5】階段の昇り方
  1. 姿勢を崩されないこと……前かがみにならない。
              ……欧米人のマネをして肱を張られるな。
  2. 顔は下に向けられるな……視線は、水平線より、すこし上。
    図:58b
  3. 足音をたてられないように。
  4. 段のスピート……男女とも1/2秒。
  5. 足の位置……段からあまりかかとをだされぬよう。
【説明】

足の位置について、はっきりと、意識されよ。
とくに女子の場合、高いヒールなど、安定の悪い靴を着用されるとき、かかとの一部を空中に浮かしていたのでは、ちょっとした重心の移行で、バランスを失いやすいし、また、とっさの動きに対して、不安定である。
で、この足の位置というのは、危険防止ということ。

図:58a
【型6】階段の降り方
  1. 一般人としても、ホテルマンとしても、手すりのない側を降りられよ。
  2. 姿勢をくずされるな。
  3. 顔を下に向けられるな……視線は、水平線より、すこし下。
  4. 足音を立てられないように。
  5. からだの上下波動 (Swing) をなくされよ。
  6. 1段のスピード1/3秒。(ただし、39才まで)。女子はすべて1/2秒。
図:58c
【型7】階段昇降後の2歩

階段を昇り切ってからの2歩と、降りきってからの2歩を美しくされよ。

  1. 普通のスピードで昇降するとき。
    1. 昇降後の1歩は、床をしっかりと踏まれよ。
      このとき、床の端にかかとがつくようにする。
    2. 2歩目は、上体を揺らさないように注意し、足をまっすぐに伸ばす。
    図:59
  2. 少々速いスピードで昇降するとき、急いで階段を昇降するとき、1.とほとんど同じ方法で行なう。
    ただし、1歩目は 1.よりも強めに床を踏まれよ。
【型8】階段の途中でのぶつかり回避
  1. こちらに向かって、やってくる人を 「対向者」、こちらのうしろから、来る人を 「後続者」 と呼んでみる。
  2. 対向者の来ないときでも、こちらは、階段の右半分を使用しようと意識されよ。
    ただし とくに、「ここでは、左側通行」 と掲示されている階段の左半分を使用しようと意識されよ。
  3. ホテルマンは、自分のホテルの階段で、客の昇降のあるとき、前記のほかに、手すりのある側を、客用に提供し、自分は、手すりのない側を用いようと努められよ。
    もし、左右両側に手すりがあるときは、自分として、まん中を昇降すればよい。
  4. 対向者とぶつかりそうなとき、こちらから見て、右側によけられよ。
    ただし、左側通行を指定している階段では、左側によけられよ。
  5. 対向者にぶつからないため、一時停止するとすれば、車の坂道での場合と同じに考えて下りの者が、先に一時停止すべきであろう。
    すなわち、昇るエネルギーより、下るエネルギーの方が強いからである。
  6. このとき、昇る者も、一時停止を忘れてはならない。
  7. 一時停止するときも、後続者の追突を避けるため、対向者のこちらから見て、右側に避けようとされよ。
    ただし、左側通行を規定している階段では、左側に。
  8. できるだけ、相手に胸を向けて、避けられよ。
  9. 相手が立ちどまり、避けてくれたとき、会釈を忘れられるな。
  10. 対向者たちが、階段の巾いっぱいに広がって来るとき、こちらは、その力に屈服し、階段の右すみを用いられよ。
    左側通行掲示の階段では、左側すみに。
  11. 自分が、群集の一員であり、その群集が階段巾いっぱいに昇降しているとき、自分は、ともかくも、階段巾の右半分の中にいようと心掛けられよ。
    左側通行階段では、左半分の中にいようと、心掛けられよ。
【型9】男子が先に昇る

男女で階段を昇るとき、必ず、男子が先に昇られよ。
このため、階段昇口の 3m 手前から、男子は、速足、女子は遅足となられよ。

【説明】
  1. 欧米の過敏なセックス意識から来ている作法である。
  2. そこで、女子が、15才以下であるならば、男子が女子を保護する意味で、女子を先としたほうがよい。
  3. ただし、大人の女子が、階段をあとから昇るという習慣を見ていて、オシャマな女の子は、階段の下で、男子に、「どうぞ、お先に」 とやるかも知れない。
    そういうときは、男子が先に昇られよ。
【型10】前後距離
  1. 階段昇降のとき、異性と前後して進む場合、相手との斜面距離を、約 3m、あけようと努められよ。
  2. はじめに、くっついてしまっているときは、後の者が、あいだを、調整して行かれよ。
    しかし、それを、立ちどまることなく、行われよ。
【型11】階段での上位者への先導・随伴
  1. 階段での昇降には、上位者が、真中を昇降できるように考えること。
  2. この上位者を先導申しあげるときは、上位者の右前を進むこと。
  3. また、この上位者に随伴するときは、上位者の左後ろか真うしろを進むこと。
  4. にかかわらず、上位者が、手すりにつかまろうとされるときは、応用動作とすること。
    図:61
  5. 観光産業マンは、つとめて、手すり側を避けて昇降している習慣をつけられよ。
【型12】30cm のものをまたぐとき
  1. 高さ 30cm の柵などをまたぐとき、柵と横対し、「ゴム段とび」 を丁寧に行なったような形でされよ。男女ともである。
    図:62a
  2. 前に足を蹴上げては、行われるな。
図:62b


【型13】巾30cm のものをまたぐとき

男女とも、横またぎとされよ。

図:62c
【型14】トレーを片手に持って、またぐ

高さ 30cm あるいは巾 30cm のものをまたぐとき、ともに横またぎとされよ。


ホーム 章トップ
前節 先頭行 次節