第2節 記号性
- 作法として、美容・服装を考えるとき、「自分の身分・職業・立場を示す」という目的があった。
- この中の「立場」であるが、ここでは、「いま、自分が、なにをしようとしているか」ということである。
たとえば、スポーツをしようとしていれば、スポーツ着を着るであろう。
儀式に出席しようとしていれば、儀式服を着るであろう。
- スポーツ着、儀式服には、身のこなしを容易にする目的もあるが、いまの自分の立場をあらわしている「記号」の性質が含まれている。
- ことに、儀式服ともなれば、単に、儀式に参加する服装というだけでなく、自分の身分をあらわす「記号」としての形ということにもなる。
- スポーツ着のときも、キャプテンは、赤線の1本入ったパンツをはいているといった、スポーツの世界での身分を、赤線という記号であらわしもする。
- 作法として、美容・服装を考えるとき、はなはだ、この「記号」性について考えるところが強い。
- 美容・服装上の記号は、単なる約束である。
- その約束は、はじめ、物理的な必要によって生じ、のち、それが、風習として残っているものである。
- その約束は、徐々に、変ってゆくが、政治革命でもないかぎり、急に変ったりしない。