第4章 美容と服装 ◆第18節 男子靴
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第18節 男子靴


【参考】西洋男子靴の歴史的な流れ
  1. 中世、男子靴は、次の2種類であった。
    戦闘、乗馬・川漁用 …… ブーツ
    一般徒歩用 …………… パンプス(下図)
    図:パンプス
  2. ブーツは、皮・布製であり、パンプスは、木皮・布製であった。
  3. このパンプスとは、ひもがない。
    こん日も、パンプスは、男女両用のものがある。
  4. 宮廷用として、武官はブーツのまま、文官はパンプスを用いてきた。
  5. 1700〜1800年代に入っても、軍服以外のフォーマル・ウェアの靴は、パンプスであった。
  6. さらにそこで、1900年代に入っても、テール・コート、モーニング・コート、タキシードに用いる靴はパンプスであった。
  7. 現代でも、ウェーターの靴は、宮内官の靴と同じくパンプスである。
  8. 元来、ひも結びの靴は、ひも結びのブーツの短くなったものである。
    くるぶしの上まであるアングル・ブーツが一般化したのは1500年代で、始め、タウン・ウェアないしカジュアル・ウェアに用いられた。
    この編上靴は1800年代からさらに短いものとなり、現代の短靴に至った。
    この編上短靴は、パンプスにひもをつけたものとも言える。
    現代ではテール・コート以下、すべてのフォーマル・ウェアでも用いている。
  9. 武官が、ブーツをフォーマル・ウェアに、用いることをやめたのは、1900年代に入ってからであって、 これは、馬に乗る代わりに、自動車に乗るように変わってきてからである。
【通解】短靴の分類
  1. 材質による靴の分類
    1. カーフ
      生後3週間前後の子牛の皮
      フォーマル用
    2. キップ
      子牛と成牛の中間の牛の皮
      ビジネス用
    3. スコッチグレーン
      表面がデコボコしている
      スポーツ用
    4. パテントレザー(別名 エナメル皮)
      牛の皮にエナメルを塗ってあり、ピカピカに光っている。
      フォーマル用
    5. スエード
      子牛の皮を、やわらかく、なめしたもの
      非公式のおしゃれ用
    6. バックスキン
      鹿のなめし皮か、山羊のもみ皮
      非公式のおしゃれ用
    7. 合成皮革
      表面ツルツル
      表面ザラザラ
      表面エナメル
    8. その他
      カンガルー …… カーフと同様にフォーマル用
      わに …… 非公式のおしゃれ用
      とかげ …… 非公式のおしゃれ用
  2. 色による分類
    1. 黒     …… フォーマル用、タウン・ウェア用
    2. 白     …… カジュアル用
    3. ブラウン  …… カジュアル用、タウン・ウェア用
    4. その他各色 …… カジュアル用、タウン・ウェア用
  3. つまさきのカットの分類
    図:つまさきのカット

  4. つまさき縫い飾りの分類
    図:つまさき縫い飾り
    図:つまさき縫い飾り

  5. 羽根の分類
    図:羽根

  6. 羽根かざり
    図:羽根飾り

  7. はき口の高さの分類 (ブーツを別とする)
    図:はき口の高さ

  8. かかとの高さ
    図:かかとの高さ

  9. 縫い目
    図:縫い目
【参考】靴は午後3時に買え

「靴は午後3時に買え」ということばがある。
人間の足は、15時ごろ、もっとも、膨張するということ。

【型1】フォーマル・ウェアでの靴

フォーマル・ウェアのとき、つぎの範囲の靴を着用されよ。

・材質
「力ーフ」「キップ」「パテントレザー」「合成皮革で、表面のつるつるしたもの」「カンガルー」
・色
・つまさきのカット
「ポインテッド・トウ」
・つまさき縫い飾り
「プレーントウ」「ストレート・チップ」
・羽根
「プラッチャー」「パルモラル」
・羽根かざり
かざりのないもの
・はき口の高さ
「オクスフォード」「ハイライザー」
・縫い目
内縫い
・エナメル
葬儀・法事には不むきである

【型2】タウン・ウェアでの靴

タウン・ウェアのとき、フォーマル・ウェア用の靴を、そのまま用いられてよい。
しかし、次の範囲の靴も用いられよ。

・材質
自由
・色
何色でもよいが一色であるこ
・つまさきのカット
超ラウンドでないこと
・つまさき縫い飾り
自由
・羽根
自由
・羽根かざり
自由
・はき口の高さ
自由
・縫い目
自由
・エナメル
自由

【型3】ブーツについて 【参考】ブーツの種類
図:ブーツ
  1. ブーツには、ひも付、ひもなし、現代ではチャック付もある。
  2. 用途はすべてカジュアル用、または、スポーツ用である。
  3. 男女とも昔から、タウン・ウェア用とかカジュアル用に用いてきたが、1900年代に入って、男子は次第にカジュアル用にのみ、用いるようになった。
【参考】スリッポン
  1. スリッポンは、元来、部屋ばきであった。
    かかとを取れば、スリッパである。
  2. 布製は、部屋はきおよびカジュアル用。
    皮製はタウン・ウェア用として用いてよい。
  3. スリッポンを、フォーマル・ウェアで用いることはない。
【型4】
  1. 靴を、よく磨いておられよ。
  2. 次図の矢印の部分は、じゅうたんの上で、とくに目立つ部分であるから、光らせていることに努められよ。
    図:靴
【参考】靴の手入れ
  1. 靴を磨くとき、まず、ブラシでほこりを払い、良質のクリームを少しずつ、まんべんなく塗る。
  2. そのあと、布で、よくこする。
  3. 皮靴が、雨にぬれたときは、陰干しにすること。
    このとき陽に当てると変色したり、変型したりすることがあるし、はなはだ、靴をいためる。
  4. で、型が変型するのを防ぐため、保存用の木型、または、シュー・ツリーを入れておくとよい。
  5. 日ごろ、着用しない靴は、靴箱の中に、よく磨いて入れて置く。
    このとき、入れっぱなしにすると、カビを生じてくるので、たまに、靴箱から出して、通気をよくしたり、また、磨いたりすることが大切である。
  6. 1足の靴を毎日着用するのでなく、2足以上の靴を、交互に着用されよ。
    これは、靴を長持ちさせる方法である。
    また、1足の靴のみでは、毎日の汗が靴の中にたまり、それが乾燥するヒマを与えられないので、健康上よくない。
【型5】中側

男女とも、日本では、正式の場において、靴を脱がなければならないことがある。
このとき、脱いだ靴の中側が、汚れていないよう、こういうときのための靴を、別に所持しておられることが、たしなみである。

【型6】人前で靴を脱ぐな

人前で、けっして、靴を脱がれるな。

【説明】

欧米人は、この行為を、はなはだ、失礼と見なす。
また、女子として、人前で靴を脱ぐことが、特殊な職業の婦人であることの信号となることを知っておかれよ。

【型7】人前で、靴下、靴紐をさわるな

人前で、靴下や靴紐に触れられるな。

【型8】靴音をさせるな
  1. 会合、聴講などのとき、けっして、靴音をさせられるな。
  2. 歩くときに、靴がキューキュー鳴るようであれば、その靴を替えること。
    (貧乏ゆすりをして、靴音をさせるのは、もってのほか)
    とにかく、音について、ものすごく、神経が要る。

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