第46節 宴会での乾杯
【型1】乾杯の前に飲むな
欧米に行ったとき、レセプションでワインが注がれたあと、招待側から長々と挨拶を述べられることがある。また、そのあとには、正客として、長々とお礼のことばを述べなければなら
ない。こんなことをしているうちに、端のほうに座っている日本人が、ちょっとだけのつもりでワインに手を出してしまう。
すると、招待主は、多くの場合、目ざとくそれを見つけ、たちまち、挨拶を止めて、乾杯に移ってくれるものである。
が、招待主に、こうさせることは、たいへんな失礼なのであるということ。
【説明】
最初の乾杯は、欧米なりに2000〜3000年の歴史を背負った重要な瞬間ということになっており、それだけ、種々のジンクスを伴っている。そこで、接待主が、乾杯の音頭をとるまでは、決して、誰もワインのコップを手でさわったり、いわんや、チョッピリ飲んだりしないこと。さらに見ていると、意外と日本人女性に、この不行儀を犯す者が多いし、それも、その会食の席に到着する前、一杯やってきたときに、やりやすい。
また、それを見た隣席の者は、たとえ、自分がにくまれても、すぐに、それを、やめさせる勇気を持たれよ。
【型2】終わりの乾杯のために赤ワインを少し残せ
- 宴会のとき、ワインが、注がれたからといって、さっさと、飲み始めるものでない。その宴会としての乾杯が、普通、あるもので、それまで、待っておられよ。
- まだ、どうも、それもなさそうというときは、そのテーブルのみんなで、座ったままの小さな乾杯をして、それから、飲み始められよ。
- 日本を含む、世界中どこでも、よいワインを出すときには、その量に限定がある。飲むほうは、うまいから飲む。飲めば注ぐ。そのうち、にわかに、そのよいワインがなくなると、あと、悪いワインを注ぐわけにゆかないから、注ぐほうはそれっきりとする。ところが、宴会の最後のあたりで、突然、もう1度、乾杯をやろうということが起こる。この乾杯には、必ず赤ワインを捧げなければならない。ところが、こちらが、飲み乾してしまっていると空のコップを捧げるわけにもゆかず、どうにもあんばいが悪い。で、会食中、赤ワインが注がれ、また、それを飲んでみて、「これは、はなはだ、美味しい」と思ったならば、同時に「あと、あまり、注ぎ足しがなかろう」と心得、そのコップの赤ワインは、半分以下に滅らないように注意しておられるのがよい。
【型3】乾杯の要領
- 乾杯は、原則として、全員起立して行なうもの。
- 乾杯をするときの足は、肩幅よりやや小さめに開かれよ。
- 乾杯のためには、まず、起立し、それから、卓上の杯をとられよ。杯を持って、立ち上がることをされるな。
- 杯をとるとき、腰を曲げず、背を曲げられよ。
- ワイン・グラスを持つ位置、3種
持つ位置は、上図の3種が考えられるが、あらたまった場所においては、Aが良いであろう。
- 座るときも、杯を、卓上に、きちんと置いたのち、座りにかかる。
- 乾杯のとき、グラス上面を、自分のアゴと乳首の中間の高さとされよ。
- で、杯を捧げるときは、自分の親指を、自分の目の高さとされよ。