第38節 中座など
【型1】食事中の握手
こちらが食事をしているときなど、誰かがやって来て、握手を求めることがある。こちらの食事中など構わず、やってくるかわりに、さっといなくなる。
で、こういうとき、①口中の食べ物を飲み込み、②ナプキンで口を拭き、③ナプキンを左手に持ち、④おもむろに、立ち上がり、そうして⑤握手されよ。相手も馴れているから、ゆうゆうと待っていてくれる。
【型2】食事中の電話
会食中、かかって来た電話に対しては、よほどのことがないかぎり、「こちらから、あとでかける。電話番号を知らせよ」ということを連絡者に頼み、食後に、そのようにされよ。
【型3】食事中の中座
会食中、どうしても立ち上がらなければならない場合もある。その方法について。
- 立ち上がって挨拶やスピーチをするとき……ナプキンをイスの上に置いて、立ち上がる。このとき、ナプキンをたたまない。
- 中座して出て行くが、また、すぐ、帰ってくるとき……小さく、誰にということなく黙礼し、ナプキンをイスの背にかけ、イスを全部(入るだけ全部)食卓に押し込み、足音のせぬよう最寄りのウェーターのところに行き「すぐ、帰ってきます。よろしく、お
願いします」と小声でささやき、足音のせぬよう出て行く。また、帰って来たときは、先ほどのウェーターとうまく目が合えば会釈し、それができなければ、そのまま、自分のイスに左側から入って腰掛ける。
- 中座のまま、この食卓にもう1度帰ってこない予定のときも、前 b. のようにして、ただ、ウェーターにだけ、帰ってこない旨を告げて出てゆかれよ。
しばしば、会食堂の出口で、振り返り、招待者のほうに挨拶の合図を送る者があるが、ごく、よろしくない。いまにも席に戻ってくるような風情で去るのである。
- 女性の入退室のとき、男性は、そのつど必ず立ち上がる。
【型4】衣服を汚したとき
- 食事中、自分や、他の者、ときにはウェーターの手によって、こちらの被服を汚すことがある。被服についた食べ物のシミは、なかなか取れない。
- こういうとき、まず、座ったまま、誰にということなく黙礼し、目立たぬよう立ち、イスを、食卓に押しこみ、それから、レストランならば、支配人、個人の家ならば、食堂のそとにいる人のところに行かれよ。しっかりしたレストランの場合、別室で、シミ
抜きや着替えの貸与や、ランドリーで衣服を洗うことを、やってくれる。
- それをやってもらえないと判明したときには、会食主催者への挨拶の伝言を頼み、そのまま、帰宅して、処理されよ。
- 着替えを貸してもらった場合、その会食での自分の在席必要度と、貸してもらって着てみた体裁の程度などによって、もう1度、席に戻るなり、まっすぐ、自宅に帰ってしまうなりを判断されよ。
【型5】女子の食後の中座
- 女子は、食後、立って洗面所に行ってよい。
- しかし、女子が立ったからといって、男子が立ち上がってはならない。
- 女子は、化粧室に行かれてもよいが、必ず、戻って来られよ。そのまま、ロビーで、中の仲間の出てくるのを待つといったことは、厳禁である。日本人に、この例が多い。