第4章 美容と服装 ◆第21節 女子礼服の細部
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第21節 女子礼服の細部


【参考】
  1. 女性の Costume の源流を辿(たど)ろうとするとき、古代エジプト、メソポタミアでは、女子は、首かざりをし、腕輪をし、耳輪をし、そこまではよいが、あとは、おっぱいを出し、へそを出し、腰まきしているだけで、すこぶる天真らんまんであった。
  2. で、もうすこし、現代に近いところを求めてみると、BC1550年ころを頂点とするクレタ島ミノス王朝のミケーネ文化にぶつかる。
    ここでは、女子が、コルセットで、胸、腰の形をつくり、ひだのある長いスカートをはき、紅玉のネックレスをつけ、カールした髪型をしていた。
    つまり、現代と、ほとんど、同じである。
  3. 日本の女子の Costume の歴史は、多く、遊女からおこっている。
    こん日、結婚式で使う高島田にしてもが、江戸時代の遊女からである。
    ところが、ヨーロッパでも同じである。
    大部分の Costume は、遊女から、おこって来ている。
    もっとも、考えてみれば、誰かが、なにかを創り出したとして、これを、まず、貴婦人に買わせたとしても、女子は保守的であるから、「われわれは、しないから」と使わない。
    で、遊女のところに持っていってみると、「商売にプラスになるなら、使ってみるわ」ということになるし、カネ払いもよい。
    で、1名の遊女が使って、当たったとなれば、パッと、全遊女が使うようになる。
    ついで、これが、「準遊女」に広まる。
    ついで、「知られざるベスト・セラー」として、普及したあたりをねらって、社交会の中の、いくばくオキャンな人物に使わせれば、それで、全市場を制する。
    つまり、流行は、遊女から。
  4. ハイヒールの歴史を眺めよう。
    BC404年ペロポネソス戦争のおわったころ、アテネで、ハイヒールがあらわれ、まず、遊女間に流行した。
    ただし、靴の中にコルクを敷き、背を高く見せるだけであった。
    そのあと、ハイヒールは、いったん、影をひそめ、サラセン文化の中で、発達したようである。
    で、1570年代になって、ベネチアで、イスラム風ハイヒールということで売り出され、たちまち、普及した。
  5. パーマネントの歴史。
    BC10年ごろ。ローマ。ここで、髪をカールした。
  6. 女子の Costume としての男装のはじめは、ヨーロッパでは、AD360年ごろ。ローマ。
  7. 衣類にゴムが入ってきたということは、大きなできごとであった。
    1770年、イギリスで科学者プリーストリーが、鉛筆用の消しゴムを発明し、これが、大いに売れ、そこで、ゴム工業が急激におこった。
    ついで、1788年には、ゴム製でブラジャー・パッドというものが売り出され、これも、ヒット。
    ついで、ゴム・バンドとともに、ズロース(紐なしサルマタ)が売り出され、これが、また、ヒット。
    ただし、上げ下げが、簡単すぎるというので、イギリス、フランスのおばちゃまたちが怒り出し、1795年ごろ、ズロース排斥運動がおこった。
    いわく、「ズロースをはくのは、病人、老女、乗馬する女子、窓ふき女中の範囲とすべし。若い女子は、はくべきでない」
  8. ついでに申すと、ズロースよりブルーマのほうが、前からあったような形をしているが、そうでなく、これは、女子用ズボン。つまり、こん日のパンタロンの元祖として、あとから生まれたもの。
    1852年、アメリカの婦人運動家ブルーマ夫人が、トルコのハレム・スカートにヒントを得て、考え出したもの。
    パンティは、1914年ごろから、欧米で、庶民化。それまで、上流のもの。
    ナイロン・パンティは1940年、アメリカで発売。
【型1】Full Court Dress
図:Full Court Dress
  1. 男子の Full Court Dress に、合わせて用いる。
    勲章を、全部、佩用(はいよう)。
    Monteu de cour とも呼ばれている。
  2. このドレスは、Robe de coilete (夜会服) に、肩から、床上まで、ひきずるトレーン(ドレスと共布の長い布)をつける。
  3. 英国宮廷服装規定によれば、「トレーンの長さは、2ヤード(約182cm)以内で、立っているとき、ヒールから、うしろに、18インチ以上長くならないこと」と、ある。
    ただし、戴冠式などのときは、例外で、これが、うしろに 5mほどにも及んでおり、金・銀、宝石で飾られている。
  4. 「トレーンを引く」という言葉は、一般にスカートの一部を、裾長く、仕立て、裳裾を、引くという意味に使われているが、ここでは、別に肩からつけるトレーンのスタイルを言う。

  5. 白またはアイボリー、淡い色もの
  6. 生地
    絹、絹風な布地、ブロケード、タフタ、サテン、レース、オーガンジー
  7. かぶりのもの
    宝冠(crown クラウンまたは tiara ティアラー)
    ベールは、用いるときも、用いないときもある。
    帽子は用いない。
  8. アクセサリー
    指輪、イヤリング、ネックレス、ブレスレットなど、光るものがよい。

  9. 桧扇、象牙絹扇、羽根扇

  10. ドレスと共地の靴、または、サテン、金色、銀色。形はパンプス
  11. 手袋
    白皮キッドまたは白絹。長手袋
  12. ハンド・バッグ
    イブニング・バッグ、金色、銀色、ビーズ、ししゅうなど、小型のもの。
    だいたい、手首に下げる。
    ハンカチーフ、口紅ぐらいしか、入らない。
    図:美智子妃殿下
    図:華子妃殿下
【型2】Robe décolleté ローブ・デコルテ
図:Robe de'collete'
  1. Robe ローブは衣裳。
    colleté は襟。
    décolleté で襟無しということ。
    Robe décolleté で襟無し衣裳。
  2. 後記する Evening Dress の形をある範囲に約束化したもの。
  3. 男子の Evening Coat にあわせて、公式夜会に着用する礼服。
  4. 英王室では、まい年、成人を迎えた貴族子弟のデビューが行われ、その日に女子は、この衣裳を用いてきた。
    (デビューによって、1人前の大人と認められ社交界に入る)
  5. この衣裳は、襟を大きく、くりさげて、首筋をあらわにしている。
    袖は小さく、または、袖なし。また、肩のないものまである。
  6. スカートは、床まで、Full length。
    また、一部、裾を引くことがある。
  7. 生地
    絹、ブロケード、レース、チュール、サテン、タフタ、ラメ、オーガンジー、ジョーゼット、シフォン・ベルベット。
    真珠や、金銀の刺しゅうや、宝石をちりばめたものもある。
    また、レースなどで飾る。

  8. 織柄、地紋などがよく、プリント柄はよくない。
    あまり、濃色は用いない。
    白、クリーム、アイボリーなど、淡い色。
    (黒も用いてよいが、日本の宮中では、避けておられる)
  9. 英国宮廷服装規定によると、
    ヘッド・ドレス:宝冠を用い、帽子を用いない。
    ベール:長さ45cm までのもの
    その他:駝鳥の羽を、左側に飾ることがある。
  10. :かならず、用いる。象牙骨絹扇、檜扇、羽根扇など
    イヤリング、ネックレス、ブレスレット、ブローチ:夜のあかりで輝くものがよい。
    指輪:上品なものを選ぶこと。
    花束:これは、持たなくともよい。
    その他:勲章を佩用できる。

  11. ドレスと合わせた布地、または、サテン。皮でもよい。
    色は、金・銀にしてもよい。
    型は、パンプス、夜会用としてのハイ・ヒール、サンダルでも、可。
  12. 手袋
    白の「キッド、ナイロン、絹、トリコット」などの長手袋、または、服にあわせた生地の長手袋。
    縫い目は、内縫いのもの。
    かならず、用いる。
  13. コート類
    フル・コート・ドレス、ローブ・デコルテ、イブニング・ドレスを着たとき、肩や背中や胸が大きく、あいているので、はおるものが必要となる。
    形は肩だけおおうものであろうと、裾までおおうものであろうと自由。
    絹、レース、毛皮、羽根など、さまざまの素材を用いる。
  14. ハンド・バッグ
    イブニング・バッグ。
    Full Court Dress のときに準ずる。
【型3】Robe montante ローブ・モンタント
  1. モンタントとは、フランス語で 「高い」 とか 「立襟」 とかの意味であるが、これは、襟ぐりが大きくあいてないことで、肩も、背も、まったくカットしない。
  2. アフタヌーン・ドレスの裾の長いものである。
    女子のスカートの床まであったものの名残(なごり)。
  3. 昼間の儀式に用いる礼服。
    男子のイブニング・コート(昼間用)、または、モーニング・コートと対応。
    外国では、ローマ法王への拝謁、教会の儀式(このとき、髪や肌をベールでおおう )に使う。
    大学卒業式で、卒業生がキャップ・アンド・ガウンを着るとき、ガウンの下に着る。
    結婚式の付添人、参列者も着用する。
    日本では、宮さまの神社ご参拝、お付きの女官の服装などによく見る。
  4. 生地
    絹か絹風なもの、または、薄いウール。

  5. 昼間の服であるから、華美な色を避ける。
    (日本の宮中では黒を避ける)

  6. 夏でも7分程度。

  7. 服に合わせた皮パンプス。
    黒スエード、白スエード、エナメル可。
    スポーツ用のものは、用いない。
    また、夜会用の金銀サンダルは用いない。
  8. 手袋
    短いものでよい。食事のときは、とること。
  9. 帽子
    スポーティでないもの
  10. ハンド・バッグ
    あまり大きくないもの。
    皮製でもよい。
    夜会用のピカピカ光るものなど、やめたほうがよい。
    図:Robe montante
    図:Robe montante
【型4】Evening Dress
  1. Dinner Dress, Demi-toilette ドゥミ・トワレットともいう。
  2. 夜間、男子のタキシードに合わせて用いる。
  3. 袖は、短いのも、また、長いものもあり、自由。
  4. 襟ぐりも、自由。
  5. 裾も、床までのものから、くるぶしまでのマキシまで、流行によって変わる。
  6. 格調の高いものは、正式夜会にも、用いるが、Fancy Tuxedo と同じく、くずした Evening Dress は、夜のレストランやナイト・クラブへ行くときの社交服として用いる。
  7. 日本では、鹿鳴館で、これを採り入れたのち、いったん、すたり、戦前は、概して、女給やダンサーに用いられた。
    これから、徐々に、欧米と同様のまともな社交服たらんとしている。
  8. かならず、上にはおるコートやケープやショールを必要とする。
  9. 結婚式などに和服のかわりにロング・ドレスを着用する場合は、若い方は、花嫁のお色直しのドレスより派手なものを着用するのは、好ましくないので、色はピンク、オレンジなどをさけて地味な色にする。
    また、スパンコル、金・銀など、あまりキラキラしたものはさけること。
    はだがあまり露出したスタイルは、ストールなどをつけると良い。
    図:Evening Dress
【型5】Cocktail Dress
  1. Cocktail Suit, Ball dress といった種類がある。
  2. 夕方以後、カクテルの時間にあわせて用いる。
    男子のブラック・スーツに対応する。
    そのまま、夕食となる場合が多いので、Cocktail dress は、昼間の服であるが、afternoon dress より、やや、ドレッシーな形であって、Semi Evening といった感じのもの。
  3. 生地など
    絹風のものが多く、afternoon dress より夜の服の材料が多く使われる。
    また、Cocktail Suit では Two-pieces のこともある。
    無地とプリントといった素材の違うものも自由に組みあわせてよい。
  4. Ball dress のスカートの長さ
    ダンスのとき、Evening dress より裾が短く、踏みつけられないですむ。
    バレリーナ・レングスといって、afternoon dress よりやや長く、マキシ丈(くるぶしぐらいまでのもの)。
    つまり Evening Dress のように、床に引きずるものでない。
  5. 少女用
    Teen-ager が大人といっしょに、Tea party, Dance-party, 結婚式に招待されたとき、よく使う。
    短い dress でもよいが少女用のイブニングとして、バレリーナ・レングスの Ball dress が用いられる。
  6. は、サンダル、パンプスなど、ドレッシーなものであればよい。
  7. 帽子
    昼の服装であるから、帽子を用いることもあり、Cocktail Hat と呼ぶ。
    派手な羽根飾りや花、リボンなどもついているが、Tea-frock にかぶるものより小型のものが多い。
    図:Cocktail Dress
【型6】Hostess gown
  1. 主婦が家庭やホテルに招客して、夕食会、パーティをするときに用いる。
    元来、gown とは、毛皮のダブダブの上からはおるものを指し、ゆったりとしたもの。
    Hostess gown も、形式ばらない気分のもの。
    Evening dress のように肌をあらわさない、ごく、プレーンなデザインのロング・ドレスである。
    ピラピラしていないから、お客の接待に適し、そのまま、エプロンをすれば、台所にも飛び込める。
    Evening dress で は、大げさになるし、と申して、普段着では、失礼といったときによい。
  2. 生地
    Evening dress, afternoon dress より、さまざまの材料を使ってよい。
    図:Hostess gown
【型7】Afternoon Dress
  1. 午後からの服という意味で改まったときの社交服である。
    訪問服であり外出着であり労働服ではない。
  2. 英国では、午後になると、絹の服に着替えて、お茶をのむ風習があり、そのようなことから Tea frock ともいう。
  3. 午餐会、ティー・パーティ、音楽会、観劇、訪問などに用いる。
  4. 生地
    絹、絹風のもの(ナイロン、ポリエステル)。
    シフォン・ベルベット・シャンタンなど。
    レース可。ラメ不可。(夜のものが多い)
    夏 …… コットン・レース、ローンジョーゼットなど。
    冬 …… 厚手絹風、薄いウール可。カシミヤ、ドスキン・ウール・ジョーゼット
  5. 色・柄
    上品な色調が良い。
    無地、上品な柄物。
    形は、ドレッシーなもの。
  6. スカートの丈は、流行によるが、普段着の丈より、やや長めである。
    既製服が多くなったので、個性的なデザインが少なくなった。
    ピラピラしたデザインのものが、かならずしも、よいわけでないが、さりとて、シャツ・カラーなどは避けたほうがよい。

  7. パンプス。ドレッシーなもの。
    レース・シューズはいけない。
    洋服の色または、ハンド・バッグとあわせるとよい。
  8. コート
    コートは着用したほうがよい。
  9. 帽子
    ティー・パーティ、ことにガーデン・パーティなどには、つばの広いものに、チュール、花などを飾り、タウン・スーツの帽子と区別する。
    いまは、無帽が多いが、着帽が正式である。
  10. バッグ
    小型のもの。手さげ型を用いる。
    ショルダー・バッグは正式でない。
【型8】After noon Suit および Afternoon Ensemble
  1. 広義に考えると、Afternoon Dress の一部である。
  2. で、ここにいう Afternoon Suit と Afternoon Ensemble は、その素材が Afternoon Dress に準ずるもので、絹風またはウールのソフトなもの。
  3. アフタヌーン・スーツは、アフタヌーン・ドレスに準ずる素材で、
    絹、絹風なもの、バック・サテン、インド・シルクなど。
    薄手ウール、ウール・ジョーゼット、カシミヤ、ドスキン、ギャバジンなど。
    ツイード、ホームスパン、ニット不可。
  4. 色・柄
    上品な色調を研究されよ。
    大きな縞柄、大きなチェックなど不可。
    派手なボーダー・スカート不可
  5. デザイン
    ツーピースに仕立てる。
    スタイルは、上着とスカートで上下そろえる。
    ファッションによって、テーラード・スーツ、シャネル・スーツなどと呼ばれる。
  6. ただし、タウン・スーツとのちがいは、素材が、フォーマルのものであり、また、アウト・ポケツト(パッチ・ポケット)ステッチのかかったもの、シャツ・カラーなど、スポーティなものや、カジュアルなファッションを避けたものと、考えてほしい。
  7. アンサンブルとは、ツーピース、スカート+ベスト+上着、ワンピース+上着、ワンピース+コートなど、素材も組み合わせて、上下異なる布地を選んだり、無地と柄物、配色の組み合わせなどによりデザインされる。
  8. Afternoon Dress と Afternoon Suit (および Ensemble) のどちらのランクが上かというと、どちらとも言えない。
    が、Afternoon Dress のほうが、1つの目的のために、とくに、選んだ、唯一のものであるのに対し、Afternoon Suit は、目的やその場の状況によって、組み合わせなど、いくばく、変化させ得る。
    このことによって、ここでは、Afternoon Suit を、Afternoon Dress より、1ランク下のものとした。
【型9】Wedding Dress
  1. 花嫁の衣裳は結婚式場のムードに合わせて、選ぶべきであるが、神式、仏式、キリスト教式などがあるので、さらに、宴席のことも考えると、むずかしい。
  2. 素材
    イブニング・ドレスに準ずるが、色は、白で、清潔感をあらわしている。
    また、再婚者、年配者、略式で行なう場合など、色ものを使うこともある。

  3. 教会での結婚式では、後ろを向いている時間が長いので、バッグ・スタイルにポイントを置いたものがよい。
    また、トレーンは、大きな教会の場合、長い裾もよいが、狭いところでは長く引かないほうがよい。
  4. へッド・ドレス:ベール、宝冠、造花、帽子などを用いる。
    ベール …… 長い場合は、ベール持ちを必要とする。
    宝冠 ……… 真珠、ダイヤなどが多い。
    造花 …… オレンジの花。その他ブーケに合わせる。
    帽子 ……… シニヨン、キャプリーヌ、ターバンなどの形がよい。
    図:ヘット・ドレス
  5. その他
    1. 手袋
      リング交換のとき、手袋をとらなければならないので、短いほうが楽である。
    2. アクセサリー
      真珠などがよい。
      夜用のアクセサリーは、使用しない。
      が、花婿から贈られたものは、用いてもよい。
    3. ブーケ
      生花でも造花でもよい。
      コロニアル、キャスケード、クレッセント、トライアンギュラーなどの形がある。
      ドレスに合わせて選ぶ。
      ブライダル・ブーケと花婿の胸にさす花(ブートニア)は、同種の花でなければならない。
      図:ブーケ

    4. 色は白、または銀色で、絹またはエナメルのパンプス。
      衣裳に合わせ、サテンなどもよい。
    5. ハンド・バッグとハンカチーフ
      花嫁はハンド・バッグを持たない。
      したがって、ハンカチーフを入れる場所は、つぎのようにされよ。
      1. ドレスにベルトがある場合、きれいなレースのハンカチをはさむ。
      2. 手袋をしている場合、手袋の手首に入れる。
      3. 長袖の場合、手首にはめる。
      4. 胸のあいているドレスの場合、胸に入れる。
      5. 入れるところのないドレスの場合、ドレスと共布で、10cm四方の小袋を巾着にしてドレスにつけておく。
      6. ブーケを持つ場合、ブーケと一緒に持っていてもよい。
【型10】喪服
  1. ここでは、洋服の喪服を扱う。
    が、日本では、葬儀に、たたみに座ることが多いので、そのための考慮を含むものとしよう。
  2. 喪服は、黒一色。
  3. 生地は絹が正式。
    地紋はあってもよいが、なるべく、無地が、望ましい。
    シャンタン、バック・サテンなどで、光らないものを選ぶこと。
    毛織物では、ウーステッド、カシミヤ、ドスキン、ウール・ジョーゼットなどがよい。
    既成服には、ウール・ジョーゼットなどの薄手のものが多い。
    ツイード、フラノなどのカジュアルな生地は、避けること。
    また、あまり、透ける生地も避けること。
    (夏物の長袖に、ジョーゼットを使うこともある)
  4. 仕立て
    1. 座るときのことを考え、プリーツが2本くらい入っているようなスタイルとか、少し、フレアーのあるものを選び、スカートのタイトなものは避けること。
      これによって、膝も出ないし、足のしびれたとき、スカートの中で、横座りもできる。
    2. 半袖、七分袖に上着のついたアンサンブル、あるいは、スーツがよい。
    3. 袖なしや襟ぐりの大きいものは、喪服の感じとならないので、避けること。
    4. なるべく、夏にもあつくない、冬にもコートなしで、下着で、おぎなえるといったものを考えること。
  5. アクセサリー
    真珠のネックレスだけ許されている。
    また、結婚指輪である場合、ダイヤなどでもよい。
    参加者も、それに合わせられよ。

  6. 黒のパンプス。つとめて、金色の金具のないもの。
    スエードはよいが、エナメルは避けること。サンダルもいけない。
  7. 手袋
    絹風のトリコットもの。黒レースものは、避けたい。
    袖の長さに合わせ、肌が出ないようにする。
    焼香のときは、はずす。
  8. コート
    寒中、屋外で待つことが多いので、コートはやはり、1枚はほしい。
    黒が正式。が、濃紺、濃灰色でも、がまんできる。
    クレバネット、ベネッシャン、ラシャ、ドスキン。
  9. 帽子
    日本では要るまい。
    外国では、かならず、帽子、ベールなどを着用する。
  10. ハンド・バッグ
    あまり大きくないもの。
    手さげ形がよし、左手にかけて、右手でお焼香。
  11. 靴下
    黒、鉄色、グレーがよいが、なければ、普通のもので、暗いもの。
  12. 年少者の服装
    学齢前の男子は、紺かグレーのスーツ、上下揃い。
    女子は、黒または紺に白の襟をつけたドレスあたりがよい。
    その他、制服がある者は、制服でよい。

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