第8章 特定の場所での作法◆第1節 エレベーター作法
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第1節 エレベーター作法
【型1】満員対策
- 運転手のいないエレベーターでは、混みすぎると思ったとき、乗ることを遠慮されよ。
- そのとき、先に乗ってしまっている仲間の方は、「何階で待つ」と申されよ。
【説明】
「日本人は、エレベーターが、重くなりすぎると、こわれるし、場合によって、網の切れるものであることを忘れている不思議な生物である」ということばがある。
【型2】エレベーターに乗る順
- 同行者の中でのエレベーターに乗る優先順位は、「貴女目婚年訪」である。
- が、「貴」のおられるケースはすくないので、だいたい「女」について、注意していればよい。
「女」を先に乗せる(女子としては、グズグズせずに、さっさと、乗ってあげる)というところを正確に行なえば、あと、男子同士の中は、順序が、おかしくなっても、たいして、問題でない。
- が、その場の空気として、とやかく、言っていられないことも多い。
そういうときは、エレベーターのそばにいた人から、さっさと、乗ればよい。
- エレベーターに乗るときの作法として、もっとも、いけないことは、開かれたドアの前で、「お先にどうぞ」と、ゆずりあうことである。
【型3】ボタン押さえ
エレベーターに、先に乗った人は、その人が、えらい人であろうと、あとから乗る人々のために、エレベーター・ドアを手で押さえるか、オープン・ボタンを押しているかされよ。
【型4】上席
- エレベーターの中の上席は、上図のとおり。2番目、3番目以下についての約束はない。
- そこで、先に乗っていた人や、いま、先に乗ってしまった人で、前図の に位置した人は、あとから乗って来る人が、自分より、えらい(貴女目婚年訪)と見るとき、この席を、ゆずろうとされよ。
- が、その相手が、「どうぞ、そのまま」と言ったとき、こちらは、一礼して、そのまま、おられよ。狭いエレベーターの中で、ゴタゴタすることもない。
【型5】男子の脱帽など
- 手袋を脱ぐこと
男子ばかりのところに、途中の階から婦人が入ってきたとき、やはり、男子は脱帽しなければならない。
- アパート、ホテルなど、居住・宿泊機能を持つ建物のエレベーターでは、男子が女子に対し、脱帽し、手袋を脱ぐこと。途中から女子が乗ってきた場合も同じである。
- また、女子は、それに対して、かならず、会釈すること。
- また、この男子が、老人などで、気の毒と見るとき、「それにはおよびません」と言ってあげること。
- 官公庁、デパート、その他、居住・宿泊機能のない建物のエレベーターでは、男子が、女子に対し、脱帽したり、手袋を脱いだりする必要がない。
- 途中で知り合いの婦人に行き会ったときはこちらはかならず脱帽しなければならない。
もっとも単に行き会っただけで「ハロー」(Hello)位の挨拶のみで行きすぎてしまう場合は、脱帽といっても、片手で帽子を持ち上げる程度でよい。
ただし、行き会って少しでも立話をするような場合は、別れるときまで帽子を脱いでいなくてはならない。
婦人のほうから、「寒いですからどうぞ帽子をお被りください」と云ったならば「失礼いたします」と云って被ってよい。
- こんどは婦人連れの知人に出会ったときに、たとえば婦人は一面識のない人でも、こちらは脱帽するのが礼である。
また、こちらが婦人連れの場合(自分の妻でも同様)、相手が男子ばかりでも、こちらは脱帽するのが礼儀である。(何たるか、わからない)
【型6】ドア向き
- エレベーターに乗ったとき、しずかに、ドアのほうに、身体を向けられよ。
ただし、急に身体を回転させると、まわりの人々と、こすれ合うこととなる。
- こうした結果、えらい人に、お尻を向けるようになってしまっても、やむを得ないと、割り切る約束である。
【型7】ボタン押しへの礼言
知っている人、知らない人にかかわらず、こちらの行きたい階のボタンを押してくれた人に対して、「恐れいります」(Thank you very much)と申されよ。
【型8】人の分もボタンを押せ
ボタンのそばに乗った方は、ゴンドラの中の誰彼にきいて、めいめいの行きたい階のボタンを押されよ。
【型9】沈黙
- エレベーターの中では、沈黙が原則であり、知った人同士、話すときは、小声でされよ。
- とくに、酒気を帯びて、仲間で乗ったときは、細心の注意を払われよ。
【説明】
日本人は、しばしば、傍若無人に、エレベーターの中で、ワイノワイノ言う。ことに、宴会の帰りにひどい。