第8章 特定の場所での作法◆第14節 ホテルでの洗濯
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第14節 ホテルでの洗濯


【通解】ホテルで洗濯してよい
  1. 日本で、ホテル・旅館に泊まり、自分で、洗たくする客は、浅ましいといった目で見られるが、欧米では、いっこうに、遠慮が要らない。
    日本でも、はやく、そうなるべきであると思う。
    わたくしなどは、矯風的な気持ちも手伝って、日本のホテル・旅館で、平気で、洗たくする。
  2. ホテルで、洗たくするときは、バス・タブの中か、洗面台かで行なうこととなる。
    寮とか、レジデンシャル・ホテルとかになると、洗濯室や乾燥室がある。
【型1】はねた水を拭け

洗濯すれば、どうしても、水が、まわりにハネル。
このハネ水を、あと、よく拭いておかれること。

【説明】

日本人は、このあと始末をしないので、嫌われる。

【型2】干し物が道路から見えないように

欧米のホテルでは、洗濯物を、道路から見えるところに干されるな。

【説明】
  1. 国により、干し物が道路から見えることを禁止している区域がある。
    どこもかしこも、そうかと思って、おそれつつしんでいて、まわりを見ると、みんな平気で、干していたりする。
    で、それならば、こちらも、外に干すと、たちまち、警察がやってくる。
    やはり、土地の者でないと、要領がわからない。
  2. また、こういうところでは、窓の内に干した物が窓の外に落ちた場合、落とした者の責任とされる。
  3. ホテルでは、乾燥室がない以上、パブリック・スペースに干せない。
    で、客室内に干すことになる。
    それも、バルコニーといった吹きさらしに干すと、外から見えてしまう。
  4. 客室内であるが、欧州のホテルとアメリカの一流ホテルとでは、浴室にしか干せない。
    アメリカの二流以下のホテルでは、客室に干して、いっこうに、恥ずかしくない。
    自分の持ってきたロープを張って、干すとよい。
    日本より、空気のかわいているところが多いから、すぐ、かわく。
  5. なお、だいぶ前になるが、わたくしの1つの失敗を、ご参考に申し上げる。
    わたくしは、欧州のあるホテルの裏部屋に泊まった。
    窓をあけると、誰からも見えないようになっていた。
    夜になったし、空は、星空である。
    で、洗濯物を、窓のそとに出した。
    朝になって見たところ、雨が降っており、洗濯物は、ズブぬれになっていた。
    日本では、夜半までに、星空であると、朝まで、星空の続くことが多い。
    夜半までに、大雨でも、あけがたは、晴れてくることが多い。
    ところが、ヨーロッパでは逆である。
    夜半まで星空でも、2時、3時ぐらいから、しとしとと降り出すことが多い。
    天候まで逆なのかとおおいに感心したが、朝になって、旅だつとき往生した。
    これは、作法と関係ないが、申し添えておく。
【型3】干し物の雫(しずく)に注意

室内に干し物をするとき、その雫によって、床に化学変化を起こさせないよう、注意されよ。

【説明】
  1. 道路から見えないところに干しても、下を人が歩いて、上から、干し物の雫が落ちると、これを、すこぶる、嫌う。
    で、干すとき、下について、ちょっと、考えなければならない。
  2. 室内に干すときも、干し物の雫が、床(ゆか)にシミをつけそうであれば、そこの床に、新聞紙とか、雫受けを並べなければならない。
    日本人は、こういった点で、念が足らず、嫌われる。
  3. そこで、みずから、洗濯を行なったとき、洗たく物を、まず、よくしぼられよ。
  4. 次に、客室備え付けの大タオルを広げ、洗濯物をその上に広げ、大タオルを洗濯物もろとも固く巻き上げ、これを足でふむといった脱水をされよ。
  5. このようにして干すと、はなはだ乾きが、はやい。
    ただし、あと、大タオルの整理をすることを忘れられるな。
【型4】プレスをするときは

アイロンは、その使用法、使用場所について、十分な指導を受けたのち、使用されよ。

【説明】
  1. アイロン道具を、有料貸与するホテルが多い。
  2. このとき、わかっているつもりでも、道具を持参した者から、使用法、使用場所について、十分に指導を受けないと、万一、客室の調度に、焼けこげや、しみをつくれば、ばく大な賠償金を要求されることになるし、アイロン道具をこわしても、新品1台分ぐらいの賠償金を覚悟しなければならない。
【型5】洗濯、プレスの発注をするには

ホテルのマネジャー、アシスタント・マネジャーの指導を受けてから、洗濯、プレスの発注をされよ。

【説明】
  1. ホテルにおいて、24時間以内に、洗濯物が仕上がるとは、一般に信用できず、また、土、日は、停止していると考えたほうがよい。
  2. 洗濯物が約束までの期限に返ってくるための処置として、ホテルのマネジャーまたはアシスタント・マネジャーのところに出かけ、その指導を受けられよ。
  3. このようにして、なおかつ、期限に間に合わないとき、その洗濯物は、ホテルの郵送費負担によって、約2ヵ月後、自宅に送られてくることもある。
    しかし、これもあてにならない。
  4. 団体旅行で、洗濯、プレスなどの発注の費用は、団員各自の負担となる。

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