第1章 論文の書き方
前節 次節

第46節 避けたいことば


  1. 本講での提出論文では、俗語を用いられるな。(△2)
    ( )内は、俗語でない言い方の例である。

    あ行
    いかす(よい、素敵な) 
    いろいろの
    (種々の) 
    いろんな(さまざまの)
    お店(店舗、店) 
    お値打ち(価値のある)

    か行
    こわい(恐ろしい)

    さ行
    しっかり(確実に、頑丈に) 
    じつに(全く) 
    すごい(恐ろしい)
    ずっと(はなはだ、すこぶる) 
    すばらしい(みごとな、すぐれた)

    た行
    たいした(甚々しい) 
    たいへん(すこぶる) 
    たくさん(多く)
    たった(わずか) 
    だんだん(序々に、段階的に) 
    ちょうど(過不足なく)
    つぎはぎ(寄せ集め) 
    てきぱき(手際よく) 
    どしどし(次から次へ)
    とても(どのようにしても、はなはだ) 
    どっと(一度に)
    どんどん(あとからあとから)

    な行
    なかせる(困らせる、感動的な) 
    なかなか(相当、ずいぶん)
    なまじっか(中途半端に)

    は行
    ぽっきり(〜しか、〜きり) 
    非常に(はなはだ、すこぶる)
    ほんとうに(実際に、はなはだ)

    ま行
    まだ(いまになっても、他に) 
    まるっきり(全く)
    もう(すでに、もはや) 
    もともと(本来)

    や行
    やる(する、行なう ) 
    やっと(ようやく、ついに)

    ら行
    れっきとした(立派な)

    わ行
    わざわざ(特別に) 
    わたし
    (わたくし) 
    わりと
    (比較的)
    わりかし(割り方)

  2. ただし、必要上、俗語をいれたいときは、俗語であることを、ことわる意味で、その俗語の前後を、 「 」 または “ ” で囲まれよ。
    または、その俗語を、カタカナで表わされよ。(△2)
    (例)
    青年たちが「いかす」と思うような……
    結局、“お金”の……
    はやく「お酒」をという声に……
    「客の財布」というテーマでは……
    これが、1つのヤマであるが………

  3. ここで、1つの注意が要る。
    たとえば、前 1.で、 まだまだ を俗語であると規定している。
    そこで、諸君の中には、 まだまだ を使いたいため、これをカギに入れて、「まだまだ」とされる方がある。
    これを読んだ読者は、なぜ、「まだまだ」に、カギを付けられているのか、考え込むこととなる。
    ときには、読者を、からかっている意味を生じてしまう。(△2)

  4. 「お客」「お客さま」は、俗語であるが、本講での提出論文では、俗語と考えない約束とする。
    よって、 「 」 なども、なくともよい。

  5. 「おいしい」も、俗語と考えない約束とする。

  6. 本講の提出論文では、つぎの左のことばを、右のことばに統一せられよ。(△2)
    (例)
    ……たら ……たならば
    ……なら ……ならば
    どれ いずれ
    どういう いかなる、どのような
    どうして どのようにして
    どうする どのようにする
    どんな いかなる、どのような
    そんな そのような
    こんな このような
    あんな あのような
    いくら いかほど
    さす させる
    なんぴと なにびと(または、なに人)

  7. 実務論文では、「関して」「関する」という表現をさけ、「について」「についての」「で」「での」といった平易な表現を用いられよ。(△2)

  8. 客商売の者は、論文の上でも、「無論」「勿論」「当然」「言うまでもなく」「申すまでもなく」といった表現を避けられよ。(△2)
    つまり、「あなたが、わかっていないといけないから申し添えるが」といった響きを生ずる。

  9. 「絶対に」という表現を避けられよ。
    こういう言葉を安っぽく使うものでない。(△2)

  10. 実務論文のなかでは、「認識」「自覚」「反省」といったことばを、極力避けられよ。
    読者に、強い印象を与えすぎる。(△2)

  11. 「○○的」「○○性」という表現を乱発するのは、子供の文章である。(△2)

  12. 俗語のあとに「的」をつけられるな。(△2)
    (例)
    よい
    それは、あまりに、どんぶり勘定の傾向を示す。

    よくない
    それは、あまりに、どんぶり勘定的である。

ホーム 章トップ
前節 先頭行 次節