第1章 論文の書き方
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第23節 文章のまとめ方


  1. 480字作文を4つのパラグラフで言い、さいごのパラグラフを 16字×6行=81字〜96字 で言うとしても、ここには、少なくも、数種類のパターンがあり得る。

  2. 各自、自分が得意とする2〜3種類のパターンを発見されるのがよい。
    そのために、わたくしは、標準的パターンを示さないほうがよい。

  3. が、いっこうに、自分のパターンの結晶してこない方もあるので、1つの参考的なパターンを、つぎに申し上げておこう。

  4. まず、パターンといっても、各パラグラフ(以下、PGと書く)ごとの長さという問題が1つ、それから、各PGに入れる内容の型という問題が1つ。

    PG 行数 内容
    10 結論である第4PGと同一内容を例話で示す。
    第1PGを受けて立つが、第1PGをくつがえす真理をいう。
    第2PGの主張にある穴を指摘する。
    結論


  5. これを作るときの手順を述べよう。
    まず、表題を書く。
    第4PGを書き上げる。(このとき、第1〜3PGはブランクのまま)
    第4PGの主張を適切にあらわすような例話を考えて、第1PGを書き上げる。
    第1PGをくつがえすような真理を考え、それを、短かいキー・ワードにして、第2PG用スペースの欄外に、薄く書く。(あとで消す)
    第2PGの主張にある穴を指摘することばを、短かいキー・ワードにして、第3PG用スペースの欄外に、薄く書く。(あとで消す)
    もし、これが、うまくゆかないときは、第2PG用キー・ワードから作りなおす。
    第3PGを正式に書き上げる。
    さいごに、第2PGを作文にするが、ここを、さり気なく、うまく書くか否かで、論文全体の評価に、1:2の巾を作り出す。
    ここでは、第1PGの中のことばを、わずかに再用することによって、第1PGとのつながりをよくするであろう。

  6. が、第1PGをくつがえす結論は、2〜3行もあれば、言えてしまう。
    それを、9行に、ふくらませていうのであるから、下手をすれば、 A 同じことを2回、言ってしまうか、 B 第3PGで言うことを予感させるようなことを言ってしまうか、 C 第3〜第4PGへと進めてゆく理論に不必要なことを含めてしまって、論文全体をにごったものにしてしまうか するものである。

  7. 諸君は、この練習をされるとき、数作のうちに、うまくなられよう。

  8. ついで、自分の書いたものが、すこしも面白くないと思われ、凝りはじめられよう。

  9. ついで、凝っても、鼻につくものと、そうでないものとが出来ることに気付かれよう。

  10. こうやって、達人になっていかれよう。

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