第1章
論文の書き方
第21節 本文の長さ
※
本講での提出論文では、冒頭の宛名の行、発信者名の行、表題とその上下の空白行が済んで、本文をはじめる行から、本文の終わりの行(以上という文字を記入する行を含まない)までが、過不足なく30行であるようにとりまとめられよ。
ただし、第30行目の文字数は 1〜16字の範囲で、自由とする。
(△40)
この 16字×30行=480字 の作文は、つぎのようなときに、そのまま使える。
①
コラム
②
巻頭言
③
これを、2つ、3つ、4つ……とつないで、ルポルタージュとする
④
大きな論文を書くにあたり、はじめに準備する豆論文
⑤
シノプシスまたはアブストラクト(あらすじ)
⑥
あいさつ原稿
⑦
訓示原稿
⑧
テーブル・スピーチ原稿
⑨
会議発言原稿
「あの人物は、おしゃべりでないが、口を開くと、きちんとしたことを言う」といわれる人物になるためには、平常、この480字作文を多く書いておられるのがよい。
この日本語で、480字というスケールが持つ実生活上の「強さ」。
このスケールを発見するのに、わたくしは、30年、かかった。
で、これが、諸君への、わたくしとしての最大のプレゼントである。
俳句にも、和歌にも、漢詩にも、ソネット(14行詩)にも、きめられた標準的な長さというものがある。
480字作文も、いわば、そういったものと思われたい。